Web担当者を採用する前に外注した方がいい中小企業の特徴

Webマーケティング

「うちにはWeb担当者がいない」——そう感じている経営者は少なくありません。社長がSNSの更新をこなし、総務がホームページの修正依頼を制作会社に出す。そんな体制のまま数年が過ぎている会社もあるでしょう。

問題は、この状態をどう解消するかです。専任のWeb担当者を採用するのか、それとも外部に任せるのか。どちらを選ぶべきか、比較する軸がないまま「なんとなく」判断してしまっている会社は多いはずです。

この記事では、採用・外注・今のままの兼任継続という3つの選択肢を、どんな基準で比較すればよいかを整理します。読み終える頃には、自社がどの選択肢に向いているか、判断の材料がそろっているはずです。

「Web担当者がいない」は中小企業だけの悩みではない

まず押さえておきたいのは、これが特定の会社だけの問題ではないということです。

中小企業庁が公表している中小企業白書でも、DX(デジタル化)を進めようとする中小企業の多くが、人材不足や費用負担の大きさを課題として挙げていることが繰り返し取り上げられています。Web担当者の不在も、この人材不足という課題の一部と考えられます。

つまり、「自社の体制が悪いから起きている問題」ではなく、多くの中小企業が同じように直面している構造的な課題だということです。だからこそ、感覚で判断するのではなく、比較のための基準を持つことが重要になります。

採用と外注、それぞれにいくらかかるのか

判断の前提として、費用感を整理しておきます。ただし先に断っておくと、「採用は年間◯万円、外注は月◯万円だからこちらが得」と単純に比較できる性質のものではありません。

採用にかかる費用

ある人材サービス会社が公表している中途採用の実績調査によると、従業員50人以下の企業における中途採用の単価は1人あたり21.5万円程度という数字が紹介されています。これは採用活動そのものにかかる費用(求人広告費や人材紹介の手数料など)であり、採用後の給与は含まれていません。

給与については、Web担当に近い職種(Webディレクター・Webエンジニア・Webデザイナー)の平均年収は、求人情報サイトの集計で423万円から495万円程度という数字が出ています。ただしこれは全国・全業界の平均であり、中小企業に限定した数字ではない点には注意が必要です。

つまり採用には、「採用活動そのものの費用(21.5万円程度)」と「採用後の継続的な給与(年400万円台が目安)」という、性質の異なる2種類のコストがかかります。仮にこの2つを単純に足し合わせると初年度で400万円台後半という試算になりますが、これはあくまで一般的な相場を機械的に合算した仮の数字であり、実際の金額は募集条件や地域、経験年数によって大きく変わります。

外注にかかる費用

外注の場合、業務範囲によって費用の幅が大きく変わります。ある外注サービス事業者の公開情報では、サイトの保守のみなら月5,000円〜2万円程度、保守に加えてコンテンツ更新も任せる場合は月3万円〜10万円程度、SEOやコンテンツ戦略まで含めると月10万円〜25万円程度、広告運用まで含むフルサポートでは月20万円〜50万円程度という価格帯が示されています。

この数字は一事業者が公開している情報であり、業界全体の相場を保証するものではありません。ただ、「何を任せるかによって費用は大きく変わる」という構造自体は、外注を検討する上で押さえておく価値があります。

採用・外注・兼任継続を分ける3つの判断基準

費用だけを見て決めるのは危険です。ここでは、費用以外に確認すべき3つの判断基準を紹介します。

業務量は継続的か、断続的か

まず確認したいのは、Web関連の業務量がどれくらい継続的に発生するかです。毎週決まった作業が発生するなら、固定費をかけて採用する方が合理的な場合があります。逆に、月によって業務量にばらつきがあるなら、必要な分だけ依頼できる外注の方が無駄が出にくいでしょう。

求める専門性は「実行」か「戦略」か

次に、任せたい業務が「言われたことを実行するレベル」なのか、「何をすべきか自体を考える戦略レベル」なのかを区別します。戦略レベルの専門性(SEOの方針決定や広告予算の配分など)を社内で一から育てるには時間がかかります。この部分を早く補いたいなら、すでに知見を持つ外部の専門家に任せる方が早く立ち上がります。

外注先を管理できる人が社内にいるか

見落とされがちですが、これが一番重要な基準かもしれません。外注は「発注すれば終わり」ではなく、依頼内容を整理し、成果を確認し、優先順位を判断する役割が社内に必要です。この役割を担える人が一人もいない状態で外注すると、いわゆる「丸投げ」になり、成果につながりにくくなります。逆に言えば、外注は「担当者不在」の解決策にはなっても、「意思決定不在」の解決策にはならないということです。

【比較表】採用・外注・兼任継続を条件で比べる

ここまでの内容を表にまとめます。

判断軸採用外注兼任継続
業務量への適性継続的に多い方が有利変動的でも対応しやすい少ない場合のみ現実的
専門性育成に時間がかかるすぐに外部の知見を使える不足しやすい
初期コスト採用活動費(21.5万円程度が目安)比較的低いかからない
固定費給与(年400万円台が目安)依頼範囲により変動かからない
社内の負担育成・評価の負担発注・管理の負担本業を圧迫する負担

この表から分かるのは、「安いから外注」「安定しているから採用」という単純な話ではなく、自社が抱える業務量と、社内に管理を担える人がいるかどうかで、向き不向きが変わるということです。

外注が向いている中小企業の特徴

ここまでの判断基準を踏まえると、外注が選択肢になりやすいのは、次のような条件に当てはまる会社です。

  • Web関連の業務量が月によって変動し、フルタイムで1人分の仕事量とまでは言えない
  • サイト改善や広告運用など、専門性の高い判断を任せたい部分がある
  • 社内に、外注先とやり取りしながら優先順位を判断できる人が(専任でなくても)いる

たとえば、従業員20人程度で専任のWeb担当者がおらず、社長が空き時間にSNSの更新だけをこなしている、という会社を想定してみます。この場合、フルタイムでWeb担当を採用するほどの業務量はなさそうですが、SNS更新以外の施策(サイト改善やSEOなど)には手が回っていない状態です。専門性が必要な部分を外部に任せ、社長は依頼内容の確認と優先順位付けだけを担う、という形であれば、外注が現実的な選択肢になります。

逆に、業務量が明確に多く、長期的に社内へノウハウを蓄積したいと考えているなら、時間はかかっても採用を選ぶ方が合理的な場合もあります。「外注が正解」と一律に言えるわけではなく、あくまで自社の業務量と社内体制次第です。

外注する前に確認しておきたいこと

外注が向いていそうだと分かった場合も、いくつか確認しておきたいことがあります。

まず、外注先に何をどこまで任せるのかを、できるだけ具体的に決めておくことです。「Webのことは全部お願いします」という丸投げに近い依頼は、外注先にとっても対応しづらく、成果にもつながりにくくなります。

次に、社内で誰が外注先とのやり取りや進捗確認を担うのかを決めておくことです。これは専任である必要はありませんが、「誰も見ていない」状態を避ける必要があります。

自社だけでこの整理をするのが難しいと感じる場合は、Webマーケティング全体の進め方を外部の専門家に相談しながら決めるという選択肢もあります。判断そのものに迷っている段階であれば、まず相談してみるのも一つの方法です。

まとめ

Web担当者をどうするかという問題に、唯一の正解はありません。この記事で紹介した3つの判断基準——業務量の継続性、求める専門性の高さ、社内の管理体制——に自社を当てはめてみることが、遠回りに見えて一番確実な判断方法です。

業務量が少なく専門性を重視するなら外注、業務量が多く長期的な内製化を目指すなら採用、そしてどちらを選ぶ場合も、社内に最低限の意思決定者を置くことが前提になります。まずは自社の業務量を棚卸しするところから始めてみてください。

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