「Webに詳しい人がいない」中小企業の経営者が最初にすべきこと

Webマーケティング

「ホームページもSNSも大事なのは分かっているけれど、社内に詳しい人がいない」——そう感じたまま、何年も手をつけられずにいる会社もあるでしょう。かといって、いきなり専門人材を採用するのはハードルが高く、外部に丸投げするのも不安がある、という状態です。日々の業務に追われるうちに、「そのうち何とかしよう」と後回しにされ続けているケースも珍しくありません。

周りの会社がSNSで発信していたり、広告を出していたりするのを見て焦りを感じつつも、何から手をつければ良いのか分からず、結局今年も何も変わらなかった、という会社も多いのではないでしょうか。焦って一気に手を広げてしまい、かえって収拾がつかなくなるよりは、落ち着いて整理してから動き出す方が、結果的に近道になることもあります。

この記事では、採用や外注を検討する前に、まず整理しておきたい3つの考え方を解説します。

Webのことは大事だと分かってるんですが、社内に詳しい人が誰もいなくて、何から手をつければいいのか……

実は多くの経営者さんが、同じところで止まっているんです。詳しい人を探す前に、整理できることがありますよ

なぜ「詳しい人がいない」状態のまま止まってしまうのか

「詳しい人がいない」という状態そのものが問題というより、誰が判断し、誰に何を任せ、何を確認するかが決まっていないことも、Web施策を進めにくくする要因の一つだと考えられます。何から手をつければよいか分からないまま、後回しにされ続けているケースもあります。専門知識がなくても、体制さえ決まっていれば前に進められる部分は意外と多くあります。

実際には、経営者自身がなんとなくホームページの更新や広告の管理を兼任しているものの、本業が忙しくなると真っ先に後回しにされる、という会社も少なくないでしょう。社長自身がWeb担当を兼ねている場合の見直し方は、社長自身がWeb担当をしている会社が最初に見直すべきことで具体的に整理しています。あるいは、総務や営業の担当者が「詳しそうだから」という理由でなんとなくWeb担当を任され、専門知識がないまま手探りで対応しているケースもあります。どちらの場合も、担当者個人の努力不足というより、最初に体制を決めずに始めてしまったことが背景にあると考えられます。

専門知識がないこと自体は、実はそこまで大きな障害ではありません。分からないことは調べれば分かりますし、外部に聞くこともできます。むしろ問題になりやすいのは、「誰が」「何を」「どこまで」担当するのかが曖昧なまま時間だけが過ぎていくことです。この曖昧さを放置したまま採用や外注に踏み切ると、後になって想定外の負担や行き違いが生じやすくなります。

いきなり手を広げる前に――最初に整理したい3つのこと

絞る(全部同時にやらない)
ホームページ、SNS、広告、ブログなど、Web施策には多くの選択肢があります。詳しい人がいない状態で全部に同時に手を広げすぎると、継続が難しくなるケースがあります。まずは優先順位をつけて、取り組む施策を絞ることが出発点になります。「話題になっているから」という理由だけで新しい施策に手を出すのではなく、自社の商材やターゲットと相性が良いものを優先することが、絞り込みの基準になります。

作業と判断を分ける
「更新作業そのもの」と「何を発信するか・どう改善するかの判断」は、性質が異なります。作業は外部に依頼しても、判断は自社で行う、という分け方をしておくと、外注する場合もどこまで任せるかが明確になります。この分け方をしないまま外注すると、依頼した相手に判断まで委ねてしまい、自社の意図と違う方向に進んでしまうこともあります。逆に、作業まで全て自社で抱え込もうとすると、専門知識がない状態では時間ばかりかかってしまい、本業に支障が出ることもあります。

最終判断者を決める
社内の誰か1人でよいので、「最終的に何を発信するか、何を優先するかを決める人」を明確にしておくことが確認事項になります。担当者が専任である必要はなく、判断の窓口を決めておくことで、施策を進める際の意思決定がしやすくなると考えられます。判断者が曖昧なままだと、外部に依頼した提案に対して誰も「進めていい」と言えず、宙に浮いてしまうことも起こりえます。

3つとも、専門知識がなくても今日から取り組める内容です。逆に言えば、専門知識を身につけてから始めようとすると、いつまで経っても着手できないままになりかねません。まずは体制の整理から始め、専門的な部分は必要に応じて後から補っていく、という順番で考えると動き出しやすくなります。

ここまでの3つを整理すると、次のようになります。

整理する観点具体的にすること
絞るホームページ・SNS・広告等、同時に手を広げず1〜2個に絞って始める
作業と判断を分ける更新作業は外部に依頼してもよいが、発信内容や改善の判断は自社で行う
最終判断者を決める専任でなくてよいので、最終的に判断する窓口を1人決めておく

なるほど、まず絞って、判断する人を決めればいいんですね

はい。詳しい人がいなくても、この2つさえ決まっていれば、次の一歩がぐっと踏み出しやすくなります

整理せずに動いてしまうとどうなるか

3つを整理しないまま採用や外注を先に進めてしまうと、どのようなことが起こりやすいでしょうか。

たとえば、絞り込みをせずに「Webに詳しい人」を採用した場合、ホームページもSNSも広告も全部任せるつもりで採用したものの、実際には1人で全部を回しきれず、結局どれも中途半端になってしまう、ということが起こり得ます。何を優先してもらうかを先に決めておけば、採用後の期待値のずれを防ぎやすくなります。採用した本人にとっても、優先順位が明確な方が成果を出しやすく、早期の離職を防ぐことにもつながります。

また、作業と判断を分けずに外注した場合、依頼先に「良い感じにお願いします」とだけ伝えてしまい、出てきた提案が自社のイメージと違っていた、ということも起こりがちです。最終判断者が決まっていなければ、その提案を採用するかどうかの決定自体が先延ばしになり、時間だけが過ぎてしまうこともあります。こうした行き違いは、依頼先の力量の問題というより、依頼する側の準備が整っていなかったことが原因になっている場合も少なくありません。

整理してから考える「採用か、外注か」

3つを整理したうえで、次に検討するのが「専門人材を採用するか、外部に依頼するか」という選択です。何を絞り、誰が最終判断者かが決まっていれば、採用すべきか外注すべきかの検討もしやすくなります。逆に、この2つが曖昧なまま採用や外注を進めてしまうと、せっかく人を採用しても何を任せればいいか分からず持て余してしまったり、外注先に丸投げして意図と違う成果物が出てきたりすることもあります。この判断基準については、Web担当者を採用する前に外注を検討した方がいい中小企業の特徴で詳しく整理しています。また、SEOに絞った内製・外注の判断基準はSEOを自社でやるべきか外注すべきかの判断基準でも扱っています。

自社だけで判断が難しい場合

何を絞るべきか、誰を最終判断者にすべきか、といった整理自体が難しいと感じる場合もあるでしょう。特に、社内の誰もWebに詳しくない状態では、絞り込む基準そのものが分からず、堂々巡りになってしまうこともあります。「とりあえず全部やってみる」を繰り返した結果、時間だけが過ぎてしまうというのも、よくあるパターンです。

このような場合、現状を一緒に整理し、優先順位のつけ方を考えるという意味で、外部の専門家に相談するという選択肢もあります。専門知識がない状態で自己流に整理しようとするより、一度外の視点を借りた方が、遠回りをせずに済むこともあります。特に、自社の商材やターゲットを踏まえたうえでの優先順位づけは、社内だけで判断するより第三者の視点を交えた方がスムーズに進むことがあります。

まとめ

「Webに詳しい人がいない」ことに焦って、いきなり採用や外注に動く前に、まず「絞る」「作業と判断を分ける」「最終判断者を決める」という3つを整理しておくと、その後の選択がしやすくなります。詳しい人がいないという事実は変わらなくても、体制を整えることで前に進められる部分は多くあります。逆に、体制を整えないまま採用や外注だけを先に進めてしまうと、せっかくのリソースを活かしきれないまま終わってしまうこともあります。

まずは、今取り組んでいる(あるいは取り組もうとしている)Web施策が、絞られているか、判断者が決まっているかを確認するところから始めてみてください。専門知識は後から補うこともできますが、体制の整理は今日からでも着手できます。

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