Web担当者が急に退職することになった。後任を採用すべきか、それとも外注に切り替えるべきか、判断を迫られている経営者もいるでしょう。突然のことで、何から手をつければいいのか分からず、とにかく早く後任を決めなければと焦ってしまうこともあります。
これまでWeb業務を一人に任せきりにしていた会社ほど、この状況に直面したときの衝撃は大きくなりがちです。誰に何を聞けばいいのかも分からないまま、ホームページやSNSの運用が止まってしまうのではないか、という不安を感じることもあるでしょう。特に、社長や他部署の担当者がパスワードすら把握していない、という状態であれば、なおさら不安は大きくなります。
この記事では、まず確認しておきたい引き継ぎ事項と、採用・外注をどう考えればいいかを整理します。

来月でWeb担当が辞めるんですが、後任を採用するか外注するか、急に決めなきゃいけなくて焦ってます

後任を決める前に、まず引き継ぎ状況を確認した方がいいですよ。そこで慌てると後で困ることになります
突然の退職で、何から手をつければいいか分からない
担当者が辞めるとなると、後任をどうするかにまず意識が向きがちです。しかしその前に、確認しておくべきことがあります。後任が決まっていないまま退職日を迎えてしまうと、確認したくてもできない状態になってしまうこともあるため、在職中に動き出すことが重要です。
特に、Web担当が一人しかおらず、日々の業務がその人に集中していた場合、退職の申し出を受けてから実際に退職するまでの期間は、限られた時間の中でやるべきことを整理する重要な期間になります。「引き止めるかどうか」に気を取られて、この期間を引き継ぎに使えないまま過ぎてしまうと、後で困ることになりかねません。
まず確認したい引き継ぎ事項
ドメイン・サーバー・CMSアカウント等の管理情報
これらの情報が退職者しか把握していない状態だと、サイトの表示が止まるなどのトラブルにつながるリスクがあります。在職中に確認しておくことが重要です。管理画面へのログイン情報だけでなく、契約者名義や更新時期についても、あわせて確認しておくと安心です。特にドメインやサーバーは年に一度の更新作業しか発生しないため、担当者本人以外は存在自体を忘れてしまいがちな点にも注意が必要です。
施策の内容と進捗
現在進行中の施策(広告運用、記事更新等)がどこまで進んでいるかを把握していないと、後任への引き継ぎに時間がかかりやすくなります。どの施策を、どんな意図で、どこまで進めていたのかを簡単にでも書き残してもらうだけで、引き継ぎの負担は大きく変わります。特に、なぜその施策を始めたのか、これまでにどんな試行錯誤をしてきたのかという背景情報は、担当者の頭の中にしかないことが多く、意識して聞き出しておく必要があります。
退職者アカウントの削除・パスワード変更
セキュリティの観点から、退職者が使っていたアカウントの削除やパスワードの変更も必要な対応です。退職後にアカウントがそのまま残っていると、意図しないアクセスや情報漏えいのリスクにつながりかねません。SNSアカウントや広告アカウントなど、意外と見落とされやすいアカウントも含めて、一度洗い出しておくとよいでしょう。
ここまでの3点を整理すると、次のようになります。
| 確認事項 | 内容 |
|---|---|
| ドメイン・サーバー・CMSアカウント | 管理情報が退職者しか把握していない状態になっていないか |
| 施策の内容と進捗 | 広告運用・記事更新等、現在進行中の施策がどこまで進んでいるか |
| 退職者アカウント | 削除・パスワード変更等、セキュリティ面の対応 |

採用か外注か、どちらかに決めないといけないと思ってました

短期は外注、長期は採用というように、段階的に考える方法もありますよ
引き継ぎを後回しにするとどうなるか
引き継ぎを後回しにしたまま後任を決めてしまうと、どのようなことが起こりやすいでしょうか。
たとえば、ドメインやサーバーの管理者情報を確認しないまま退職を迎えてしまうと、更新時期が来ても誰も気づかず、サイトが突然表示されなくなる、ということが起こり得ます。また、進行中の施策の意図や背景を共有されないまま後任に引き継がれると、なぜその施策をやっているのか分からないまま作業だけを続けることになり、効果的な改善がしづらくなることもあります。
こうした問題は、退職から数週間、数ヶ月が経ってから表面化することも珍しくありません。ドメインの更新忘れに気づくのは更新期限を過ぎた後ですし、施策の背景が分からないことによる非効率も、しばらく運用を続けてから「なぜこうなっているのか誰も分からない」という形で発覚することが多いためです。退職直後は問題なく見えても、時間差で影響が出てくる可能性があることを念頭に置いておくとよいでしょう。
「採用か外注か」を段階的に考える
引き継ぎ事項を確認したうえで、次に採用か外注かを検討することになります。ここで一つの考え方として、短期的には外注によって必要な人手を補いながら、長期的には内部での採用・育成を進める、という段階的なアプローチがあります。外部と連携しながら、並行して社内の人材育成を進めるという選択肢も考えられます。
採用には、求人を出してから実際に働き始めるまでに一定の期間がかかります。さらに、入社後すぐに自社のWeb業務を一人でこなせるようになるとは限らず、業務に慣れるまでの時間も必要です。その間、Web業務を完全に止めてしまうわけにはいかない、という会社も多いでしょう。そうした「採用が決まるまでの空白期間」を埋める役割として、外注を位置づけることができます。
退職直後は業務を止めないことが最優先になるため、まず外注で当面の業務を回しながら、落ち着いたタイミングで採用を検討する、という順番も現実的です。焦って採用活動を始めるより、まず外部に依頼して時間を確保する方が、結果的に良い人材を見極める余裕を持てることもあります。採用活動には、求人媒体への掲載から面接、条件のすり合わせまで、通常でも一定の期間がかかります。空白期間をどう埋めるかを先に決めておくことで、採用活動そのものにも落ち着いて取り組みやすくなるでしょう。
逆に、退職をきっかけに「これを機に完全に外注へ切り替える」という判断もあり得ます。専任のWeb担当者を置き続けること自体が自社の規模に見合っていなかった、というケースもあるためです。どちらが正しいということではなく、退職という出来事を、自社のWeb運用体制そのものを見直すきっかけとして捉えることもできます。
採用か外注か、判断基準そのものについて
具体的にどちらが自社に向いているかの判断基準については、Web担当者を採用する前に外注を検討した方がいい中小企業の特徴で詳しく整理しています。また、そもそも社内に詳しい人がいなかった、という状況であれば、「Webに詳しい人がいない」中小企業の経営者が最初にすべきことも参考になります。今回のように「既に担当者がいた」状態から「いなくなった」状態への変化は、ゼロから体制を作る場合とは異なる難しさがあるため、あわせて確認しておくと判断の材料が揃いやすくなります。
自社だけで判断が難しい場合
引き継ぎの確認と並行して採用・外注の判断まで進めるのは、負担に感じる場合もあるでしょう。特に、退職までの期間が短い場合、限られた時間の中で何を優先すべきか判断すること自体が難しく感じられることもあります。経営者自身が日々の業務に追われている中で、引き継ぎ・採用・外注先の選定を同時に進めるのは、現実的に難しいという声も少なくありません。
このような場合、現状の整理から後任の検討まで、外部の専門家に相談するという選択肢もあります。第三者の視点が入ることで、何を優先して確認すべきか、優先順位をつけやすくなることもあります。社内だけで判断しようとすると、退職者への遠慮や、これまでのやり方を変えることへの抵抗から、結論を先延ばしにしてしまうこともあります。外部の視点を入れることで、そうした心理的な負担を減らしながら判断を進められる場合もあるでしょう。
まとめ
Web担当者の退職は突発的な出来事ですが、焦って採用か外注かを決める前に、まず引き継ぎ事項を確認しておくとよいでしょう。そのうえで、採用と外注のどちらか一方に決め切らず、組み合わせながら段階的に考えるという方法もあります。今回の退職を、属人化していたWeb運用体制を見直す機会として捉えることもできるでしょう。
まずは、退職までにドメイン・サーバー・アカウント等の情報がどこまで整理されているかを確認するところから始めてみてください。


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