中小企業のホームページ、公開後は誰が改善するべき?

Webマーケティング

制作会社に依頼してホームページを公開したものの、その後の更新や改善を誰が担当するかが決まっていない、という会社もあります。公開直後は制作会社とのやり取りが続いていたが、納品が終わった途端に連絡が途絶え、気づけば料金表や実績のページが1年以上前のままになっている、というケースもあります。

この状態が問題なのは、「更新していない」こと自体よりも、「誰が担当するかを決めていない」ことです。担当が決まっていなければ、更新は誰かの善意か気まぐれに頼ることになりがちです。

この記事では、公開後の運用を自社で対応するか、外部に任せるか、その中間にするかを、更新頻度・社内の人材・予算・属人化リスクという4つの軸で判断する方法を整理します。

「更新」と「改善」は違う――まず区別する

「ホームページの改善」という言葉は、2つの異なる作業を指していることがあります。1つは「更新」、もう1つは「改善」です。

更新とは、お知らせの追加、料金の改定、実績の追加など、情報を最新の状態に保つ作業です。一方、改善とは、アクセス解析などをもとに、問い合わせや資料請求につながりやすいようページ構成やコンテンツを見直す作業を指します。

更新は最低限のメンテナンスであり、改善は成果を伸ばすための施策です。「お知らせだけは定期的に更新している」という会社でも、それは更新であって改善ではありません。両方とも必要な作業ですが、目的も難易度も異なるため、まずこの2つを分けて考える必要があります。

ホームページを放置するとどうなるか

体制を決めないまま放置すると、何が起きるのでしょうか。

Web制作会社が公開している複数の記事で、情報が古いままのホームページは企業の信頼性やブランドイメージに影響しうると指摘されています。求職者や取引先候補が会社のホームページを確認した際、更新が止まっていると「事業に力を入れていない会社」という印象を持たれる可能性があるためです。

もう1つのリスクは属人化です。特定の担当者だけが更新方法を把握している状態は、その担当者が異動や退職をした瞬間に、更新が完全に止まるという結果を招きます。例えば、更新を1人の社員に任せきりにしていた場合、その社員が退職した後、誰も管理画面へのログイン方法すら分からなくなる、というのは起こりうる失敗の一例です。

これらは今すぐ致命的な問題になるとは限りません。しかし、体制を決めないまま先送りすると、後から引き継ぎや確認の手間が増える可能性があります。

更新が止まっているのは分かっているのですが、今のところ大きな問題は起きていません

今起きていなくても、担当者が変わった途端に更新できなくなるケースはよくあります。「決めていないこと」自体がリスクです

運用体制の3つの選択肢

公開後の運用体制には、大きく分けて3つの選択肢があります。

自社対応

社内の担当者がCMS(WordPressなど、専門知識がなくても文章や画像の更新程度であれば比較的操作しやすいことが多いホームページの管理システム)を使って、自社で更新や改善を行う方法です。都度の外注のやり取りが発生しないため、修正の反映が早くなる場合があります。一方で、担当者の時間が取られるうえ、大きなデザイン変更や機能追加には対応できない場合があり、担当者が1人しかいない場合は属人化のリスクも残ります。

外注(保守契約)

制作会社やフリーランスと保守契約を結び、更新や管理を任せる方法です。契約内容にもよりますが、ホスティングやドメインの更新代行、バックアップ、一定範囲内の更新作業などが含まれるのが一般的とされています。専門知識がなくても任せられる分、月額費用が発生し、契約範囲外の作業には追加費用がかかる場合があります。

費用の目安として、比較サイトの情報では、小規模なサイトで月額3,000円〜1万円程度、中小企業・店舗向けの中規模サイトと分類されるもので月額1万円〜5万円程度という例が示されています。ただし、この金額に含まれる作業範囲は情報源によって異なり、月額5,000円〜2万円程度を目安とする情報源もあります。いずれにしても特定の情報源が示す目安であり、依頼する作業範囲(更新のみか、アクセス解析やレポートまで含むか)によって幅がある点に注意してください。

ハイブリッド

軽微な更新(お知らせやブログなど)は自社で行い、デザイン変更やシステム面の改修など専門性が必要な部分は外注する、という組み合わせ方です。費用を抑えつつ専門性が必要な部分だけ任せられる一方、「どこまでが自社で、どこからが外注か」の線引きが曖昧なままだと、結局どちらも中途半端になってしまうという弱点があります。

自社に合う体制を選ぶ4つの判断軸

3つの選択肢のうち、自社に合うのはどれでしょうか。会社の規模だけでは判断できません。以下の4つの軸で自社の状況を確認してください。

更新頻度
月に何回程度、情報の更新が発生するかを確認します。更新頻度が高い場合、都度外注する費用が積み重なりやすいため、自社対応や保守契約による定額化のメリットが相対的に大きくなります。更新頻度が低い場合は、月額の固定費が発生する保守契約より、必要なときだけ依頼する都度対応の方が総額を抑えられることもあります。実際、外注での文言修正や画像差し替えは1回あたり数千円〜1万円程度が目安とされており、更新頻度が多い会社では、この積み重ねが年間10万円を超える例もあるとされています。どちらが自社にとって合理的かは、実際の更新回数と、都度費用・固定費・人件費を照らし合わせて判断してください。

社内にCMSを扱える人材がいるか
CMSは専門知識がなくても、文章や画像といった軽微な更新であれば操作できる場合が多いものの、実際に触れる人が社内に1人もいなければ、結局は外注に頼らざるを得ません。「いない」場合に自社対応を選ぶなら、担当者を育成する時間もコストとして見込んでおく必要があります。

予算
月額どの程度まで運用コストとして許容できるかを確認します。予算に余裕があれば保守契約で任せて社内の時間を空けるという判断ができますが、費用を抑えたい場合、自社対応か、更新頻度に応じた軽めの保守プランを検討することになります。ここで注意したいのは、「無料でやりたい」と考えて自社対応を選んだ場合、金銭コストの代わりに担当者の時間コストが発生しているという点です。コストが消えたわけではなく、形を変えているだけです。

属人化のリスク許容度
更新方法を把握しているのが1人だけという状態になっていないかを確認します。自社対応を選ぶ場合も、複数人が操作できるようにする、あるいは手順書を作っておくなど、1人に依存しない体制を検討する余地があります。

判断軸自社対応外注(保守契約)ハイブリッド
向いている更新頻度高い低い中程度
必要な社内人材CMS操作ができる人不要簡単な操作ができる人
金銭コスト人件費(時間)が発生月額1万〜5万円程度が目安双方が一部発生
依存先社内担当者に依存(複数人対応で軽減可)外注先に依存(契約・データ管理を要確認)両方に一部依存
反映のタイミング社内で完結すれば早い契約内容・連絡フローによる内容による

例えば、月1回程度しか更新が発生せず、社内にCMSを触れる人もいない会社であれば、外注による保守契約の方が現実的な選択肢になりやすいと考えられます。逆に、頻繁に実績やお知らせを追加する必要があり、社内に比較的Webに慣れた担当者がいる会社であれば、自社対応か、大きな改修だけ外注するハイブリッドの方が向いていると考えられます。

結局、自社対応と外注、どちらが正解なんでしょうか

会社によって違います。更新頻度・社内の人材・予算・属人化リスクの4つで確認してみてください

外注する場合に確認しておきたいこと

外注(保守契約)を選ぶ場合、契約前に以下を確認しておくと、後々のトラブルを防げます。

  • 保守契約に何が含まれ、何が追加費用になるのか(更新の範囲、対応回数の上限など)
  • ドメインやサーバーの契約名義が自社になっているか、それとも制作会社になっているか

特に2点目は見落とされがちです。ドメインやサーバーの契約名義が制作会社になっている場合、将来その制作会社との契約をやめたいときに、ドメインの返却がスムーズにいかなかったり、移管に想定外の費用がかかったりする契約もあると指摘されています。契約時点で名義を確認しておくことをおすすめします。

自社だけで判断が難しい場合

ここまでの4つの判断軸を確認しても、「更新頻度も高いのに、社内にCMSを扱える人がいない」というように、条件同士が矛盾していて判断に迷うケースもあるはずです。

このような場合、運用体制そのものを含めて、外部の専門家に相談するという選択肢もあります。自社の状況を整理した上で、どのような体制が現実的かを一緒に検討してもらう方法です。

まとめ

ホームページの公開後、更新や改善を「誰が担当するか」は、会社の規模で自動的に決まるものではありません。更新頻度、社内にCMSを扱える人材がいるか、予算、属人化のリスクをどこまで許容できるか。この4つを確認すれば、自社対応・外注(保守契約)・ハイブリッドのどれが現実的かが見えてきます。

大切なのは、どの体制を選ぶかということ以上に、「誰が担当するか」を決めないまま放置しないことです。担当が曖昧なままでは、更新は誰かの気まぐれに頼ることになりがちです。まずは自社の更新頻度と社内の人材を確認するところから始めてみてください。

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