中小企業のAI導入は自社でできるか、外注すべきか——内製と外注を分ける判断基準

AI導入

「AIを導入した方がいいのは分かっているが、何から始めればいいか分からない」——そう感じたことはないでしょうか。ChatGPTを社員が個別に使い始めてはいるものの、会社として「AIを導入した」と言える状態には至っていない。かといって、外部の開発会社に相談するにも、何を任せられるのか、費用がどれくらいかかるのか見当がつかず、動けずにいる会社もあるでしょう。

こういう状況になると、「とりあえず外注しよう」と考えるケースもあれば、「まずは自分たちでツールを試してみよう」と考えるケースもあります。ですが、内製と外注のどちらが向いているかは、会社によって違います。この記事では、判断を分ける基準を整理します。

「AIを導入した方がいい」で止まっている中小企業もある

「ChatGPTは使っているが、それ以上のことはできていない」「AIで何かできそうだが、何から手をつければいいか分からない」という状態は、特定の会社だけの問題とは限りません。社内にAIに詳しい人がいない、あるいは他の業務と兼務していて検討する時間が取れない、という会社もあるでしょう。

問題は、この状態を放置することではなく、内製と外注のどちらで動き出すかを決められずにいることです。

社内にAIに詳しい人がいないので、外注するしかないと思っています

それも一つの判断ですが、業務の内容によっては簡単なツールから内製できる場合もありますよ

AI開発を外注するといくらかかるのか

ある企業の情報では、AI開発の費用は企業規模と開発形態によって大きく変わるとされています。従業員10名以下でノーコードツールを使う場合は10万円〜50万円未満、従業員10〜50名程度でパッケージカスタマイズやAPI連携を行う場合は50万円〜100万円未満、従業員50〜100名で中規模のスクラッチ開発をする場合は100万円〜300万円未満が目安として紹介されており、より大規模な本格スクラッチ開発では1,000万円を超えるケースもあるとされています。また、運用保守費は初期費用の15〜25%程度が年間の目安とされています。ただし、これは一企業が公開している目安であり、業界全体を保証する統計ではない点に注意が必要です。

つまり、「AI導入=いくら」と一括りにできるものではなく、何を任せるか、どんな開発形態を選ぶかによって金額が大きく変わります。企業規模だけでなく、パッケージのカスタマイズなのか、フルスクラッチの開発なのかという開発形態もあわせて確認する必要があります。

内製と外注、判断を分ける4つの基準

内製と外注のどちらが向いているかは、次の4つの基準で考えると整理しやすくなります。

プロジェクトの規模・複雑性

単純な業務効率化(定型文の作成支援など)であれば内製・外注のどちらでも対応しやすい一方、既存のシステムと複雑に連携させる必要がある、継続的な改善が必要になるといったプロジェクトは、外部に依存し続けることのコストも考慮して、内製化を含めた体制を検討するという考え方があります。

情報の機密性

顧客の個人情報や経営情報など、機密性の高い情報を扱う場合は、情報を外部に渡す範囲を減らせる内製を優先する、という考え方があります。外注する場合は、NDA(秘密保持契約)やデータの管理体制を厳格に確認する必要があります。

継続性・長期運用の見込み

一度試すだけなのか、5年以上使い続ける前提なのかによって、必要な体制は変わります。長期的に使い続けるなら、外部に依頼する場合でも保守・改善の体制まで含めて検討する必要があります。

社内リソース・予算・スケジュール

AIに対応できる人材が社内にいるか、成果を求める期限が短いかどうかも判断材料になります。社内に人材がおらず、かつ期限が短い場合は、まず外注で小さく試すところから始めるという進め方も選択肢になります。

顧客情報を扱う仕組みを考えているので、外注して大丈夫か正直不安があります

機密性が高い情報を扱うなら、内製を優先するか、外注するとしても管理体制をよく確認した方がいいですよ

【比較】内製・外注・ハイブリッドの向き不向き

4つの基準を踏まえると、選択肢は内製・外注だけでなく、専門家の伴走支援を受けながら進めるハイブリッドも含めて3つに整理できます。

選択肢 向いている状況 必要な社内体制 費用の考え方
内製 機密性の高い情報を扱う、長期的に自社でノウハウを持ちたい、対応できる人材がいる 継続的に取り組める担当者 外注費は不要だが人件費・学習時間がかかる
外注 社内に対応できる人材がいない、成果を急ぎたい、まず小さく試したい 依頼内容を判断し進捗を確認できる人 10万円台〜1,000万円超まで、開発形態・規模により変動
ハイブリッド(伴走支援) 完全な内製は難しいが社内にも知見を残したい 外部の専門家とやり取りしながら実務の一部を担える人 社内と外部、どちらがどこまで担うかによって変わる

この表から分かるのは、「内製か外注か」という二択ではなく、自社の体制次第でハイブリッドという選択肢も現実的だということです。

内製を選ぶ前に見落としがちなリスク

内製は「外注費がかからない」という点で費用面のメリットがあるように見えます。ただし、AIに詳しい担当者が一人しかいない場合、その担当者が異動・退職した際にノウハウが失われる、いわゆる属人化のリスクがあるという指摘があります。内製を選ぶ場合は、費用だけでなく、こうした継続性のリスクも含めて考える必要があります。

社内で判断が難しいと感じたら

ここまでの基準を自社だけで当てはめるのが難しいと感じる場合もあるでしょう。特に、AIの技術的な話が分かりにくい、あるいは社内に相談できる相手がいないという状況では、外部の専門家に相談するという選択肢もあります。

判断そのものに迷っている段階であれば、まず相談してみるのも一つの方法です。

まとめ

AI導入を内製すべきか外注すべきかに、唯一の正解はありません。この記事で紹介した4つの基準——プロジェクトの規模・複雑性、情報の機密性、継続性・長期運用の見込み、社内リソース——に自社を当てはめてみることが、判断材料を整理する一歩になります。

まずは自社が任せたい業務が、どれくらいの規模・複雑性なのかを整理するところから始めてみてください。

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